WordPressのバックアップは必要か?潜在するセキュリティリスクに備える方法と対策
WordPressは、世界中で最も利用されているCMSです。その魅力は、豊富なプラグインや効率的なWebサイト運用が可能な点にあります。しかし、近年ではセキュリティリスクも懸念されるようになりました。本記事では、WordPressのバックアップが必要とされる理由と、直面する可能性のあるセキュリティリスクについて詳しく解説します。

WordPressにはバックアップが必要か
結論として、WordPressを利用する際にはバックアップが不可欠です。WordPressは、本体やプラグイン、PHP、データベースといった複数のプログラムで構成されており、これらは脆弱性の修正や機能の追加を目的に定期的にアップデートされます。しかし、アップデートを適用することで旧バージョンとの互換性問題が発生し、表示が崩れる場合があります。また、プログラムエラーが原因で、Webサイト全体が表示されなくなるケースもあります。アップデートを回避すると、逆にセキュリティリスクが高まる可能性があり、最近ではプラグインの脆弱性を悪用した不正アクセス被害も報告されています。こうしたトラブルが起きた場合、バックアップデータがあれば迅速な復旧が可能です。
WordPressは攻撃者から狙われやすい
WordPressにおけるバックアップの必要性は、攻撃者に狙われやすいという点にもあります。この特徴について、以下で要因を解説していきます。
1)世界的に利用されているCMSであること
WordPressは、世界で最も広く利用されているオープンソースのCMSとして知られています。W3Techsが公表した2023年5月時点の統計データによると、その利用率は6割を超えており、他のCMSを圧倒しています。ユーザー数が多いということは、それだけ攻撃者にとって狙いやすい対象となり、攻撃の費用対効果が高くなります。また、オープンソースであるため、インターネット上に技術情報が豊富に存在し、攻撃者にとっては大きな利点となっています。
2)プラグインなどに脆弱性が生じやすいこと
WordPressを採用する利点の一つは、その豊富なプラグインです。これにより、WordPress本体では提供されない追加機能を簡単に実装でき、利便性が高まります。そのため、多くのユーザーはプラグインを活用しています。しかし、プラグインの配布元に信頼性の問題がある場合があり、また、導入が簡単であるために適切に管理されていないケースも多く見受けられます。無効化されたプラグインであっても、脆弱性が悪用されるリスクは残ります。このように、プラグインの管理が不十分なことが、攻撃者がWordPressを狙う理由の一つとなっています。
WordPressで起こり得るセキュリティリスク
セキュリティリスクを含むさまざまな理由から、Webサイトの効率的な運営にはバックアップが欠かせません。前述の通り、WordPressでWebサイトを運用する際には、多くのセキュリティリスクが発生する可能性があります。ここでは、想定されるセキュリティリスクについて詳しく解説します。
1)WordPressに不正アクセスされ、情報が漏えいする
WordPressの管理者情報が漏れた場合、管理画面に不正にログインされる可能性が高まります。このような場合、サーバー上の個人情報や機密情報が漏洩するリスクが存在します。
2)Webサイトが改ざんされ、マルウェアの配布元になる
WordPressを設置したサーバーに不正にログインされると、その結果、Webサイトが改ざんされ、マルウェアが配布されたり、ユーザーが攻撃者のWebサイトに自動的に転送される(リダイレクトされる)事態が発生する可能性があります。
3)スパムメール配信やDDoS攻撃の踏み台にされる
攻撃者がWordPressに不正なプラグインをインストールすることで、スパムメールの送信やDDoS攻撃の踏み台として悪用される可能性があります。
4)フォームからの個人情報抜き取り
Webサイトに設置されたフォームが改ざんされると、個人情報が不正に取得される可能性があります。さらに、フォーム経由でXSS(クロスサイトスクリプティング)やCSRF(クロスサイトリクエストフォージェリ)といった攻撃を受ける危険性もあります。これにより、情報漏えいや、詐欺サイトへの誘導など、意図せず攻撃に加担してしまうリスクも存在します。加えて、サーバーやレンタルサーバーの障害、作業ミスによるアクセス不可能な状態など、外部要因によるリスクも考えられます。WordPressを使用する際には、これらのリスクを理解し、事前に整理しておくことが大切です。
WordPressで起こったインシデント
実際にWordPressで起こったインシデントをいくつか紹介していきます。
1)プラグインを利用したバックアップ
WordPressの特徴の一つであるプラグインを利用することで、簡単にバックアップを行うことができます。代表的なプラグインは以下の通りです。
BackWPup
サーバーとデータベースのバックアップを定期的に自動で実行できるプラグインです。バックアップタイミングは自動または手動で設定でき、用途に合わせた運用が可能です。
UpdraftPlus
BackWPupと同様、サーバーとデータベースのデータを個別にバックアップします。このプラグインの特徴は、ワンクリックでバックアップやWebサイトの復元ができる点です。
All-in-One WP Migration
このプラグインは、バックアップだけでなくWebサイトの移行にも対応しています。データのエクスポートやインポートが可能です。
しかし、前述の通り、プラグインには脆弱性を抱えているものも多くあります。実際、過去にはプラグインのゼロデイ脆弱性が原因で大きな問題が発生した事例もあります。そのため、選定時には中長期的な利用を考慮し、信頼できる提供元のプラグインを選ぶことが重要です。
2)レンタルサーバーの自動バックアップを利用
レンタルサーバーによっては、自動バックアップ機能をサービスとして提供しているものもあります。バックアップの方法や保管期間は、サーバーの種類やプランによって異なるため、事前に確認が必要です。この機能を利用することで、手軽にバックアップを実施できる場合が多いため、WordPressでWebサイトを作成する際にサーバー選定時に考慮すると良いでしょう。
3)手動でのバックアップ
プラグインを使えばバックアップが簡単に行えますが、前述の通りデメリットも存在します。最も基本的なバックアップ方法は手動で行うことです。WordPressは基本的に以下のようなデータで構成されています。
- ファイル:WordPress本体、CSS、画像ファイル
- データベース:管理画面の設定や投稿記事などのデータ
は、FFFTPなどのFTPソフトでダウンロードし、パソコンに保存できます。また、データベースはレンタルサーバーの指示に従い操作することで、パソコンに保存できます。
こうしたバックアップに加えて、WAF(Web Application Firewall)の導入も検討したいところです。WAFを導入すれば、SQLインジェクションなどの脆弱性を狙った攻撃から守ることができます。WordPressを利用する際、万が一のインシデントに備えたバックアップは必須です。しかし、バックアップだけでは不十分で、Webサイト運営においては適切なセキュリティ対策が求められる時代です。自社のWebサイトがどれほど重要かを考え、それに見合ったセキュリティ対策を検討する必要があります。


