Cookieの仕組みとその重要な役割についてわかりやすく説明

最近、ニュースや新聞でも頻繁に目にするCookie。インターネットの利便性を高める一方で、セキュリティ上の懸念やプライバシー問題が指摘されています。本記事では、Cookieの基本的な仕組みや種類を説明し、潜むリスクやその対策について詳しく解説します。

Cookie(クッキー)とは何か

Cookie(クッキー)とは、Webサイトを閲覧した際に、端末のWebブラウザーに保存されるテキストファイルのことです。Webサイトを利用する際に「Cookie取得への同意」を求められた経験がある方も多いでしょう。この名前はお菓子のクッキーに由来しており、Webサーバーがクライアント端末のブラウザーにテキストファイルを発行・送付する仕組みが、お菓子を渡す様子に例えられたことから広まりました。Cookieは、IDやパスワードなどの認証情報をブラウザーに保存することで、スムーズな認証を実現しますが、一方でセキュリティやプライバシーの懸念が指摘されることも増えています。

Cookieの役割やメリット

Cookieの主な役割やメリットは以下の4つだ。

1)スムーズなWebサイトへのログイン

WebブラウザーがIDやパスワードなどの認証情報を保存し、必要な時に自動的に呼び出すため、毎回入力する手間が省け、ログインがスムーズに行えます。

2)ECサイトにおける利便性向上

ログイン情報に加え、クレジットカード情報などを保存することで、購入時の手続きが簡便になります。また、気になる商品を「お気に入り」に追加したり、ショッピングカートに入れたままにしておけば、後日改めて購入することもできます。ECサイトは、こうした利便性を提供するためにさまざまな工夫をしています。

3)ユーザーごとのコンテンツ表示最適化

Cookieを使ってWebページの閲覧情報を保存することで、関連ページの表示や、コンテンツのカスタマイズが可能になります。例えば、特定のブランドの洋服を見たユーザーに対して、そのブランドの他の商品をおすすめとして表示することができます。

4)広告配信システムにおける適切なターゲティング

ookieは広告配信にも利用されます。ユーザーのWebサイトの閲覧履歴を基に、関心がありそうな商品を広告として表示する方法が一般的です。また、広告の表示回数に応じて、内容を変更することも行われています。

Cookieの仕組み

Cookieの仕組みは、最初にWebサイトにアクセスした際に、Webサーバー内でCookieが生成されて発行されることから始まります。その後、発行されたCookieはユーザーのWebブラウザーが受け取り、ブラウザー内に保存されます。次回以降にWebサイトを訪れると、端末に保存されたCookieの情報がWebサーバーに送信され、セッションIDに基づいて、ログイン情報や閲覧履歴の管理が行われます。

Cookieの種類

Cookieは「ファーストパーティー」と「セカンドパーティー」、「サードパーティー」という3つに分類される。この違いは主にCookieを発行するドメインによります。

1)ファーストパーティーCookie

Cookieの仕組みは、最初にWebサイトにアクセスした際に、Webサーバー内でCookieが生成されて発行されることから始まります。その後、発行されたCookieはユーザーのWebブラウザーが受け取り、ブラウザー内に保存されます。次回以降にWebサイトを訪れると、端末に保存されたCookieの情報がWebサーバーに送信され、セッションIDに基づいて、ログイン情報や閲覧履歴の管理が行われます。

2)セカンドパーティーCookie

セカンドパーティーCookieは、他社のドメインが発行したファーストパーティーCookieで、Webサイトの運営者とは異なる事業者が所有しています。このCookieに基づくデータはセカンドパーティデータと呼ばれ、時には匿名化されて売買され、Webサイトのコンテンツ最適化などに利用されます。

3)サードパーティーCookie

サードパーティーCookieは、閲覧しているWebサイトのドメイン以外の第三者が発行するCookieで、例えば広告配信用サーバーが発行するCookieがその一例です。このCookieを使うことにより、異なるドメインをまたいでユーザーの行動を追跡することができます。

Cookieのデメリットや注意点

Cookieのデメリットや注意点について、以下の3つに分けて解説する。

1)プライバシー侵害

Cookieは、ユーザーと企業双方にとって便利なツールです。しかし、過度なユーザー行動の追跡がプライバシーの侵害として問題視されています。2018年に欧州で施行されたGDPR(EU一般データ保護規則)では、Cookieも個人情報として扱われ、発行・取得の際に同意を得ることが義務化されました。GDPRに違反すると企業や組織には巨額の罰金が科されることになります。実際、2022年2月にフランス当局はグーグルに対して1億5千万ユーロの罰金を課しました。こうした背景を受け、Chromeなど主要WebブラウザーはCookieの使用を廃止することを発表しました。最初は2023年を予定していましたが、2024年後半から段階的に廃止を始めることになりました。

2)個人情報漏えいや不正アクセス

Cookieには、Webサイトの閲覧履歴に加え、認証情報などの個人情報も保存されています。これらの情報はセッションIDと関連付けられ、Webサーバー側で管理されています。そのため、Cookie情報が漏洩すると、セッションハイジャックが発生する可能性があります。セッションハイジャックが起こると、ネットバンキングの不正利用など、深刻な被害が発生するリスクがあります。

3)Cookie削除によるトラブル

Cookieの利用にはリスクがあるものの、すべてを削除するとWebサービスの利便性が大幅に損なわれます。たとえば、ログイン画面でユーザーIDが表示されなくなったり、ECサイトでカートに保存する機能が使えなくなったりします。また、オンラインオフィスソフトにおいても、入力した内容の一時的な保存ができなくなります。多くのアプリやソフトウェアでCookieは重要な役割を果たしており、便利に使われていることを考慮しなければなりません。

Cookieのデメリットを認識した上で適切な対策を

Webサイト、Webサービスの利便性を最大限享受するためにも、Cookieのデメリット、リスクを認識した上で、適切な対策を講じるようにしたい。

1)Webブラウザーでのプライバシー設定

WebブラウザーにはCookieなどのプライバシー設定機能が搭載されています。例えば、Chromeでは「設定」メニューから「プライバシーとセキュリティ」を選ぶことで、Cookieの受け入れ具合を調整することができます。

2)端末でのプライバシー設定

スマートフォン(以下、スマホ)のプライバシー設定を変更することで、過度なトラッキングを抑えることができます。iOS 14.5以降、アプリやWebサイトを通じてユーザー行動がトラッキングされる場合には、「確認画面」が表示されるようになりました。また、後から一括でトラッキングの許可設定を行うことや、アプリごとに個別設定することも可能です。

3)紛失や盗難に備えた端末のロック

ノートパソコンやスマートフォンを利用する際には、紛失や盗難のリスクがつきものです。万が一、盗まれた場合にCookieが保存されていると、ネットバンキングなどに不正アクセスされる危険性があります。そのため、端末には必ずロックを設定しておくことが重要です。

4)セキュリティソフトの導入

インターネットを安全に利用するためには、セキュリティソフトの導入が不可欠です。たとえプライバシー設定をしていたとしても、端末自体がセキュリティ侵害を受ければ、Cookie情報が漏れる可能性が高く、なりすましによる詐欺被害などに巻き込まれるリスクも増大します。紹介した対策はどれも難しいものではないので、実情に応じてできる範囲から取り組んでみてください。