セッションハイジャックのメカニズムとリスク対策について
セッションハイジャックは、Webサイトの利用者のセッションを奪取する攻撃で、攻撃者がユーザーになりすまし、クレジットカードの不正利用や情報漏えいのリスクを引き起こします。この記事では、セッションハイジャックの動作原理とその防止策について詳しく解説します。

セッションとは
セッションハイジャックを理解するには、まず『セッション』の意味を知ることが重要です。セッションには複数の定義がありますが、インターネットでのセッションは、アクセスの開始から終了までの通信全体を指します。通常、Webサイトを閲覧する際は以下の流れでデータの送受信が行われます。
ユーザーがクライアント端末からWebサーバーに接続要求を送ると、サーバーは自動的にCookieを生成し、クライアントに返送し、セッションIDと関連付けます。その後、再度接続要求があった際、ブラウザー内に保存されたCookieがサーバーに送信され、サーバーは対応するセッションIDに基づいた情報を返します。ユーザーが同じWebサイト内の異なるページに移動すると、これらの手順が繰り返されます。Webサイト全体での一連のやり取りがセッションと呼ばれ、ユーザーがサイト内を移動しても同一セッション内で行われます。店舗の中を回る来客に例えるとわかりやすく、入店から退店までが1つのセッションとして扱われます。また、多くのWebサイトではタイムアウトが設定されており、一般的には30分間操作がなければセッションが終了します。サーバー側ではセッションIDを生成し、CookieやURLのパラメーターなどを利用して管理し、ユーザーの動作記録を保持します。
セッションハイジャックとは
セッションハイジャックとは、前述したWebサイトのセッションを不正に乗っ取る行為です。この手法により、攻撃者は別のユーザーになりすまして通信ができるようになります。これはフィッシング攻撃のようにIDやパスワードを直接盗むのではなく、セッションIDを何らかの方法で取得して他人に成りすますことに重点が置かれています。代表的な手法として、
①セッションIDの推測
②セッションIDの窃取
③セッションフィクセーション
の3つが挙げられます。
セッションハイジャックによって起こる被害
セッションハイジャックは、なりすましの一形態であり、攻撃者がユーザーの代わりにWebサービスを利用できるため、以下のような被害が考えられます。まず、正規のユーザーとしてWebサービスにアクセスされることで、企業の機密情報や個人のプライベート情報が漏洩したり、盗まれたりする危険があります。また、なりすましによって企業のサーバーに不正に侵入されると、Webサイトの情報が改ざんされたり、フィッシングサイトへ誘導される危険が増し、さらなる攻撃の足がかりとなることもあります。さらに、オンラインバンキングにおいては、正規ユーザーになりすますことで不正に資金を引き出される可能性もあります。攻撃者が正規ユーザーとしてWebサービスにアクセスすると、そのサービスに登録された情報が漏えいしたり、改ざんされたりするリスクも存在します。最後に、オンラインサービスでクレジットカードが不正利用され、予期しない金額が請求されることもあるため注意が必要です。
セッションハイジャックを防ぐための対策
前述のように、セッションハイジャックの被害に遭うと、重大な損失が発生する可能性があります。このため、セッションハイジャックを防ぐためには、攻撃者にセッションIDを奪われないような対策が必要です。ユーザーにも注意が求められますが、セッションIDの保存と管理はWebサイトの運営者の責任です。運営者は以下の対策を講じることが望まれます。まず、セッションIDをURLに含めないことが基本です。URLにセッションIDが含まれると、攻撃者に簡単に取得されるリスクが高まります。したがって、Cookieを利用してセッションIDを管理する方法に切り替えるべきです。次に、推測しにくいセッションIDを生成することです。ユーザーIDや日付などの単純な要素だけで構成されたセッションIDは推測されやすいため、擬似乱数を組み合わせた解析が困難なセッションIDを作成することが重要です。また、ユーザーがログインした際には既存のセッションIDを無効にし、新たなセッションIDを付与することが求められます。これにより、攻撃者が以前に取得したセッションIDではアクセスできなくなります。さらに、WAF(Web Application Firewall)を導入することで、Webアプリケーションの脆弱性を狙った攻撃を防ぎ、クロスサイトスクリプティングなどによるセッションIDの漏洩を防ぐことができます。
まとめ
セッションハイジャックは古くから存在する攻撃手法ですが、現在でも関連する被害が続いています。その主な要因の一つは、Webサイト運営者側の不備です。セッションハイジャックの特性上、ユーザー側での防御策は限られているため、Webサイトを継続的に利用してもらうためには、運営企業が適切な対策を講じることが重要です。