マルウェアに感染!?スマホやパソコンにどんな影響がある?
マルウェアに感染しても、すぐに症状が現れないことが多くあります。しかし、ランサムウェアのように感染を知らせてくるものや、メールを使って他の端末に感染を広げようとするものなど、兆候を見逃さなければ感染に気づける場合もあります。ここでは、マルウェア感染が疑われる典型的な症状や、感染の可能性が高い場合に取るべき対策について解説します。

マルウェアに感染するとどうなるのか
「マルウェア」とは、「不正かつ有害な動作を目的に作られた悪意あるソフトウェア」のことで、その脅威は年々増加しています。マルウェア対策を怠ったり、怪しいファイルやリンクをうっかり開いてしまうと、感染リスクが高まります。対策をしているつもりでも、知らぬ間に感染していることもあります。
では、パソコンやスマートフォンがマルウェアに感染すると、どうなるのでしょうか?
感染すると、パソコンやスマホの動作が遅くなったり、不審なポップアップが表示されたりするなど、異常な挙動が見られることがあります。しかし、感染しても明確な症状が出ないことも多いため、異常がないからといって安心できるわけではありません。次に、パソコンやスマホがマルウェアに感染した際によく見られる症状について説明します。
パソコンの場合
パソコンがマルウェアに感染した場合の代表的な症状として、「不審なポップアップの出現」、「処理速度の低下や動作の重さ」、「予期しない再起動などの異常挙動」、「勝手にメールを送信するなど、意図しない通信」が考えられます。
不審なポップアップ画面の表示
不審なポップアップを表示する代表的なマルウェアとして、ランサムウェアが挙げられます。ランサムウェアは、端末内のデータを人質に取り、身代金を要求する目的で、感染を知らせるためにポップアップを表示することが一般的です。また、ランサムウェア以外にも、愉快犯的な目的のウイルスがメッセージを画面上に表示するケースが多く見られます。
処理速度、動作の重さ
マルウェアに感染し活動が始まると、ユーザーの見えない場所で様々な動作が行われます。例えば、他のファイルに感染を広げたり、ビットコインなどの暗号資産の採掘(マイニング)を密かに行うマルウェアもあります。こうした動作がパソコンのCPUやメモリに負担をかけ、結果として動作が重くなることがあります。
予期しない挙動(再起動など)の増加
再起動などの予期しない動作が増えてきた場合、マルウェアに感染している可能性があります。マルウェアの中には、パソコンの設定を勝手に変更し、自らが動作しやすい環境に調整するものもあります。例えば、デフォルトのWebブラウザーを無断で変更し、ユーザーが通常の方法では元に戻せないようにするマルウェアも存在します。
勝手にメールを送信するなど、身に覚えのない通信
マルウェアは感染を拡大するためにさまざまな方法を利用しますが、特にメールやSNSの投稿、ダイレクトメッセージを悪用するものが多いです。こういったマルウェアに感染すると、意図しないメールの送信やSNSへの投稿など、自分が知らないうちに通信が行われます。定期的にメールの送信履歴やアプリのデータ使用量を確認することが重要です。
パソコンでこれらの症状が見られるようになった場合、マルウェア感染の可能性を考え、適切な対策を取る必要があります。
スマホの場合
スマホにマルウェアが感染した際によく見られる症状には、「アプリやシステムの異常な挙動」、「発信履歴やメール履歴に不審な宛先」、「過剰なデータ通信量」、「見覚えのないテキストメッセージの送受信」、「覚えのない支払い請求」があります。
システムやアプリのおかしな挙動
それまで問題なく動作していたアプリが突然使えなくなったり、立ち上げても開かなくなることがあります。システムやアプリが繰り返し異常な挙動を示す場合、マルウェアが正常な動作を妨害している可能性があります。また、マルウェアがカメラを乗っ取り、プライベートな情報を盗撮されるリスクもあるため注意が必要です。
発信履歴やメール履歴の身に覚えのない宛先
発信履歴やメールの送信履歴に知らない宛先が表示されるようになったら、マルウェア感染の疑いがあります。一部のマルウェアは、勝手に海外に電話をかけて高額請求を生じさせることもあります。
過多なデータ通信量
一部のマルウェアは、メールやSNSの投稿、ダイレクトメッセージを通じて感染を広げたり、端末内のデータを外部に漏えいさせる機能を持っています。そのため、これらのマルウェアに感染するとデータ通信量が急激に増加することがあります。アプリごとの通信量を調べるアプリを使って、定期的に監視しておくと、被害に気づく手助けになります。
おかしなテキストメッセージの送受信
SMSの送受信履歴を定期的にチェックしておくことも大切です。一部のマルウェアはSMSを利用し、制作者が端末をコントロールしようとすることがあります。このようなマルウェアに感染すると、送受信履歴に拡散用のメッセージが残る場合がありますが、履歴を自動的に削除するマルウェアも存在するため、履歴に何も残っていないからといって感染していないとは限らないことに注意が必要です。
身に覚えのない支払い請求
マルウェア感染が、予期しない支払い請求の原因になることがあります。例えば、端末のデータを無差別にメールで送信するタイプのマルウェアに感染すると、データ通信量が大幅に増加し、契約内容によっては月の請求が急増することがあります。また、アプリ内での購入や継続的な課金を悪用して、高額な請求をするアプリも存在します。したがって、クレジットカードやスマホの請求内容をしっかりと確認することをおすすめします。
マルウェアに感染したと思われる場合、どう対処すればよいのか
端末がマルウェアに感染している疑いがある場合、どのように対処すればよいでしょうか。最終的にはマルウェアの駆除が不可欠ですが、それよりもまずすぐに実行すべきことがあります。最初に、端末をネットワークから切断し、さらなる被害を防ぎましょう。マルウェアは多くの場合、ネットワークを通じて広がるため、会社の有線LANに接続している場合はLANケーブルを外し、Wi-Fi接続の場合はWi-Fiをオフにします。
次に、社内のパソコンやスマホがマルウェアに感染したと思われる場合、速やかにセキュリティ担当者やIT担当者に連絡を取りましょう。これらの手順は、マルウェアの拡散を防ぐための初動として非常に重要です。
その後、マルウェアの特定と駆除を行います。端末にセキュリティソフトがインストールされている場合、そのソフトが最新のものであることを確認し、ウイルススキャンを実施してください。これにより、感染したほとんどのマルウェアを検出し、駆除することが可能です。
ただし、手順が不明な場合は誤った対応をすると被害が拡大する恐れがあるため、セキュリティ担当者やIT担当者の指示に従うことが重要です。個人の端末の場合は、ITに詳しい人に相談することをおすすめします。また、一部のセキュリティソフトには有償のサポートセンターがあり、これを利用するのも良い考えかもしれません。
マルウェアに感染したことに気づいても、慌てないことが重要
パソコンやスマホを使う際は、マルウェア対策をしっかり行うことが重要ですが、対策を施しても100%マルウェアに感染しないわけではありません。万が一、マルウェアに感染したことに気づいても、冷静さを保つことが大切です。焦ってパニックになると、被害がさらに拡大する恐れがあります。こうした心構えも、広い意味でのITリテラシーの一部であり、マルウェア対策を進める上で重要です。日常的に情報収集や学習を行い、適切な対策を講じることが安全への第一歩と言えるでしょう。
